冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「あれでも一応皇女だからな。結婚すれば皇家との関係を作れる他、後ろ盾があるのだと周りに権力の誇示が出来る。良く考えたものだよ」
「ただの皇女でなく、誰も必要されていない皇女だから少し優しく接しただけで簡単に落ちてくれましたよ。ただ、警戒心が強かったので七年も時間が掛かってしまいましたが」
笑い声が聞こえる。
いつもの聞き慣れた声なのに、まるで別人の様に声が冷たく聞こえる。
(必要とされていない………皇女?)
呆然とその場に立ち尽くす。
他人からは良く言われて来た言葉だけど、この人に限ってその様な言葉を口にするはずがない。
何せ落ち込んでいた時、明るく励ましてくれたのはケレイブ様だったから。
どんなに酷い言葉を母から吐かれようと、使用人から陰口を叩かれようと。
ケレイブ様は私の中で唯一の理解者でいた。