冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
一人で混乱していると。
「……………ですか」
「へ?」
前から消え入りそうな声が飛んできた。
テオビューク卿の声だ。
「……………お妃様は私のこの傷をご覧になり、気持ちが悪いとは思われないのですか?」
何故かその表情は暗く。
テオビューク卿は言葉の途中で、顔を横へ逸らした。
「気持ちが悪いって……その傷が?」
「………………左様でございます」
触れられたくない様な苦い表情は、
あまりその傷を見られたくない様にも見える。
(……そんなに変な傷でもないのに)
顎に手を当てて考える。
こんな時、なんて声をかけたら良いのか。
何が正解なのか。