冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「今日はここで朝を迎えるか。その町には早朝向かうぞ」
「…そう致しましょう」
ドラゴンが落ち着かない限り、出発する事は出来ない。
これは仕方のない選択だ。
そう誰もが納得をした。
「ギュル…ルル…ッ」
未だに落ち着きを見せないアヴァを見て、レニアスは苦笑する。
「それにしても、珍しいですね。王様が声をかけられても尚、落ち着きを見せない何て。初めてではありませんか?」
「…確かにそうだな。いつもは少し撫でれば大抵大人しくなるが。今日はやけに、騒がしい」
命令する時のように力を込めて名前を呼ぶと、アヴァはこちらへ反応を見せた。
そして、鳴くのをピタリと止めた。
それに合わせて周りも静かになる。
「…どう致しましょう。予定は押しましたが出発致しますか?」
「……………いや。今日はこのまま休もう。その方が良いだろう」
「かしこまりました。では、その様に進めさせて頂きます」