冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】



「…………竜舎。あの場所が丁度良い。竜を飼育しているあの舎内に、妃を連れ込むのだ」


「…………しかし、竜舎には常にドラゴン使いが見回っております。仮に見つかった場合、どう説明するのですか?」


見知らぬ者が近づくだけでも反応する繊細な生き物であるドラゴン。


周りにバレず、どう近づくのかが難点だ。


「連れ込むのは普通の竜舎ではない。普通の竜舎から少し離れた場所に、実はもう一つ竜舎があるのだ」


「離れた場所にもう一つ…ですか?聞いた事がございませんが…」


その反応に男は口元を緩めた。


「あれはあまり公表されていない竜舎でね。関係者にしか伝えられていないが、その中には乱暴のドラゴンが飼育されているそうだ。

ドラゴン使いでさえも、手が出せない狂暴なドラゴンが」


男は小さな紙をポケットから取り出すと、何かを書き始めた。


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