あの夏の日にもう一度
 付き合うかどうかの返事もまだしてないのに、そんなこと言われてどう答えていいか分からない。

「結城、他に誰か好きな奴でもいるのか?」

課長が心配そうに私の顔を覗き込む。

私は無言で首を振った。

そんなの、いるわけない。

新入社員で配属されて、課長の下で働くうちに気づけばいつも課長のことを考えてた。
課長に褒められたくて、仕事も頑張ってきた。

だけど、本当に私なんかでいいの?

その思いが私に返事をさせない。

「じゃあ、俺のこと嫌いか?」

私はまた無言で首を振る。

「じゃあ、付き合ってみてくれないか?」

私は無言で頷いた。



こうして、私たちは始まった。

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