王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。



「力じゃかなわないのに、ずるいよ!」

「そんな乱暴なことはしないよ?」


えっ、じゃあ……いったいどうやって……。
パニックになってる場合じゃなくなって。


「……少し口開けてごらん」

顎に芭瑠くんの指先が添えられて、下唇を親指でなぞってくる。

そのせいで少しだけ口が開いた状態で。


目の前にいる芭瑠くんが、わたしが飲むはずの錠剤と水を口に含んだ。

えっ、なんで芭瑠くんが飲んで……?


ニッと口角を上げて笑った顔が近づいてきて、

唇に柔らかい感触が伝わった。


「……は、る……く……っ」

少し冷たい水が口の中に入ってくる。

多すぎるくらいの水がこぼれて、口の端から流れていく。息が苦しい。


「んんっ……」

無理って意味を込めて首を横にふるふる振ってみるけど、離してくれない。

少し口を閉じようとしたら、無理やりこじあけて、中に舌が入ってくる。


「飲むまで離してあげない」

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