王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。



前髪をくしゃっとかきあげた。
あっ……なんかこの仕草すごく色っぽい。


「……もっかい、したくなる」

「ダメ……だよ。風邪移っちゃう、から」

すぐに布団で口元を覆ってみた。


「だから僕に移せばいーじゃん」

「今、ちゃんとお薬飲んだもん」


「飲ませてもらったんだもんね」

「うっ、それ言わないで……っ」


やっぱりすごくすごく恥ずかしい。
芭瑠くんって普段優しいのに、たまに強引っていうか……。

強引なくせに甘いから、ずるい……。


「じゃあ、あとはちゃんと寝ないとね」

ベッドの上から退いて、そばから離れていこうとするから、とっさに服の裾をつかんだ。


「……この手はなーに?」

わかってるくせに、わざとらしく聞いてくる。


「どこ、行くの……っ?」

「さあ?」

うぅ、イジワル芭瑠くんだ。

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