王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
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その日、いつもより少し遅くに芭瑠くんが帰ってきた。
いちおう会社に行ってるので、
ピシッとしたスーツに、真っ白の清潔感のあるシャツに、ネクタイをしっかり締めている。
大人っぽいから、スーツが似合っていてとても高校生には見えない。
……すごくかっこいい。
思わず見惚れてしまうほど。
「あっ、おかえりなさい」
部屋に入ってきて、わたしの姿を見つけるとホッとした顔を見せた。
「……ただいま」
今まで締めていたネクタイをシュルッと緩める仕草がとっても色っぽい。
やっぱり疲れてるのかな。
近くで顔を見ると、なんだかそう見える。
「はぁ……芙結不足で死にそう」
「お疲れさま」
帰ってきたら真っ先にギュッてしてくれる。
「……芙結いなかったらぜったい死んでる」
「えぇっ」
抱きしめられるといつもとは違って、大人な香水の匂いがする。