王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
あまり納得はしてくれず、渋々わたしから離れた芭瑠くん。
ただ離れる寸前まで心配してくれて「すぐに戻るから」とまで言ってくれた。
芭瑠くんがいなくなって、残されたわたしは会場の隅に移動しようとしたんだけど。
「芙結ちゃんは今少し時間あったりするかな?」
芭瑠くんのお父さんに引き止められた。
「あっ、はい」
「じゃあ少しあちらで話そうか」
そう言われて、会場の中でもあまり人がいない、静かなほうへと連れて行かれた。
芭瑠くんのお母さんも来るのかと思いきや、わたしに最後お辞儀をしてそのままどこかへ行ってしまった。
……なので、いま芭瑠くんのお父さんと2人。
妙に緊張してしまって、
身体がカチカチで、口の中も渇きっぱなし。
「悪いね、急に引き止めてしまって」
「い、いえ」
いったいわたしに何を話すんだろうって、先の言葉を聞くのがいちいち緊張する。