王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
わたしの存在は芭瑠くんの中でそんな大きなものになっているの……?
「そんなこと……芭瑠くんはわたしがいなくても、充分完璧ですし、それに……」
話している途中だったけど、途中で切れてしまった。
いや、切ったのが正しい。
「……挨拶行ってきたんで。芙結のこと返してもらっていいですか?」
気づいたら芭瑠くんがこちらに戻ってきていた。
「おっと、早いな。ちゃんとやってきたのか?」
「はい、もちろん」
「ははっ、そうかそうか。じゃあ、もう芙結ちゃんとはお話できないってことか」
「そうですね」
まだもう少し聞きたいことがあったけど、これ以上はもう聞けないのかな。
すると、お父さんがわたしのほうを見てにっこり笑いながら。
「さっきのお願い、よかったら聞いてくれるとわたしは嬉しいな」
と言いながら、その場を去っていった。