王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。



この人は、わたしが知らない芭瑠くんを知ってるのかな。


「じゃあ、小桃がそばにいてあげるから〜。ほら、早くいってきて!」


心配そうにわたしのほうを見てくる芭瑠くんに、大丈夫と口パクで伝えて、うなずいて見せたら、その場を離れていった。


こうして小桃さんと2人で残されて、若干気まずいけど仕方ない。


何も話さずにこのまま時間が過ぎてくれればいいと思ったけど、そうはいかなくて。


「ねぇねぇ、あなたって芭瑠の彼女なの?」

「か、彼女ってわけじゃ……ない、です」


「へぇ、彼女でもないくせに、ふつーにこんな場所来ちゃうなんてすごい勇気だね〜。

まあ、仮に彼女だったとしても、ここに来るのは場違い感あるけど〜」


やっぱりわたしが気に入らないのか、嫌味たっぷりの口調。

すると、周りに聞こえないように耳元に近づいてきて。


「……なんであなたみたいな子がここにいて、芭瑠の隣にいるの?」


さっき話してた声とは違う……。
かなり低い声……。

< 173 / 361 >

この作品をシェア

pagetop