王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
この人は、わたしが知らない芭瑠くんを知ってるのかな。
「じゃあ、小桃がそばにいてあげるから〜。ほら、早くいってきて!」
心配そうにわたしのほうを見てくる芭瑠くんに、大丈夫と口パクで伝えて、うなずいて見せたら、その場を離れていった。
こうして小桃さんと2人で残されて、若干気まずいけど仕方ない。
何も話さずにこのまま時間が過ぎてくれればいいと思ったけど、そうはいかなくて。
「ねぇねぇ、あなたって芭瑠の彼女なの?」
「か、彼女ってわけじゃ……ない、です」
「へぇ、彼女でもないくせに、ふつーにこんな場所来ちゃうなんてすごい勇気だね〜。
まあ、仮に彼女だったとしても、ここに来るのは場違い感あるけど〜」
やっぱりわたしが気に入らないのか、嫌味たっぷりの口調。
すると、周りに聞こえないように耳元に近づいてきて。
「……なんであなたみたいな子がここにいて、芭瑠の隣にいるの?」
さっき話してた声とは違う……。
かなり低い声……。