王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
こんな場所で芭瑠くんの隣を堂々と歩けるほどの自信なんて、これっぽっちもない。
「あなたと芭瑠は住む世界が違うの」
返す言葉が何もない。
だってこれが現実だから。
わたしは芭瑠くんにふさわしくない。
「わかったら、早く芭瑠のそばから離れてよね?これは芭瑠のためでもあるし、あなた自身のためでもあるんだから」
強く言い放つと、タイミングよく芭瑠くんがこちらに戻ってくるのが見える。
すると小桃さんは一直線に芭瑠くんの元へいき、再び抱きついていた。
あぁ……やだ……。
胸のあたりがモヤモヤして苦しい。
近くにいたはずの芭瑠くんが、今はとても遠く感じて違う世界にいるような気がする。
……ううん、気がするんじゃない。
もともと住む世界が違ったんだから。
その事実をあらためて知っただけ。