王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
「あ、えっと、大丈夫です」
自分で口にしておいて、何が大丈夫なのかさっぱりわからない。
とりあえずこの状況を誰でもいいから説明して欲しいって何回も思う。
すると、メイドさんたちは3人ともにこっと笑って、全員同じくらいの角度でお辞儀をして「では、失礼いたします」と声を揃えて部屋を出て行った。
こんな格好させられて、どこかに売られるんじゃないのなんて、よからぬ考えが頭をよぎる。
ま、まさかそんなことあるわけ……。
それにお母さんは何やら事情を知っていそうだし。
はぁ、しまった。
スマホは家に置いてきたままだし。
連絡を取る手段が何もない。
すると、部屋な扉がコンコンっとノックされた。
「は、はい」
「入ってもよろしいでしょうか?」
この声は柏葉さんの声。
「あ、どうぞ」
すると柏葉さんは入ってくるなり、にこにこ笑いながらなぜか拍手をして。
「とても似合っております、芙結さま」