王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
返す言葉が見つからない。
それに、わたしがそばにいても何もしてあげられないから。
「わたしのせいで……芭瑠くんは倒れるまで無茶をしてるんじゃないんですか……っ」
「それは違います。芭瑠さまは自分なりにどの選択がベストかを悩んできちんと決められて今があります」
わたしは何ひとつわかっていない。
芭瑠くんの苦しみや、
会社を継ぐ経営者としての責任と重圧。
わたしには計り知れないほどのものがあることを……。
心の支えにもなれなかった、ただわたしのためだけに芭瑠くんは今までずっと苦しい世界で頑張ってきてくれたのに。
無力な自分が悔しくて悔しくて仕方ない。
「あなたがいなければ、芭瑠さまは今のこの環境から逃げ出していたかもしれません。
今の芭瑠さまがいるのは、芙結さまのおかげなのです」