王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
「え?」
「帰ってきたらいきなり芙結がいるから。
ついに幻覚見え始めたのかと思って焦ってるんだけど」
ゆっくり頬に触れている手が動いて、
まるでわたしがここにいるのを確かめているような……。
「本物の芙結……なの?」
芭瑠くんにしては珍しい発言というか。
いまだに信じられないのか、困った顔をしてる。
「ほ、本物……です」
触れてくる芭瑠くんの手に、
そっと自分の手を重ねる。
「……なんか信じられない」
柏葉さんには何も聞いてないのかな。
わたしがここで待っていること。
たぶん聞いてないから
こんな感じのリアクションなのかな。
もっと重い感じの再会を予想していたから、少し拍子抜けした。
お互いわたしは夢の中かと思っちゃうし、
芭瑠くんはわたしが本物か疑っちゃうし。