王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
あぁ、だから柏葉さんはわたしのことを知っていたんだ。
「僕が予定よりここに到着するの遅れるって連絡したんだけど。だから芙結のこと柏葉に頼んだのにアイツはいったい何をしてるのかな」
顔は笑っているけど、口調が怒ってるように聞こえたのであわててフォローに入る。
「あっ、ち、違うの……っ!
わ、わたしが勝手に脱走しちゃって……」
すると、芭瑠くんはなんで?って顔をしてこちらを見てくる。
「柏葉に何か気に入らないことされた?」
「そ、そんなことないよ!
た、ただ……なんかわたし知らない人と結婚させられちゃうって聞いて」
「まさかそれで逃げてきたの?」
「う、うん」
だって相手も聞かされてないし、知らない人との結婚なんてぜったいに嫌だもん。
「相手、誰か聞いてないの?」
「うん、聞いてないよ」
すると、芭瑠くんは大きなため息をついた。