王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
***
「ねー、芙結。まだ怒ってるの?」
「……」
今お風呂から出て、ぷいぷい怒ってるわたしに芭瑠くんがご機嫌取り。
「ねー、芙結ってば無視しないで」
「うぅ……だって、何も触ることないじゃん……!」
「ごめんって。だって手伸ばしたら触れちゃったし」
謝ってるから悪いことしたの自覚してるのかと思ったら、手伸ばしたら〜とか言ってるし。
反省してるのかしてないのかわかんない。
「どーしたら機嫌直してくれる?」
捨てられた子犬みたいな目で見てくるから、胸が痛いというか……っ!
「髪……乾かしてくれたら」
こんなことで許しちゃうわたしって本当に単純かもしれない。
「それでいーの?」
「う、ん」
すぐにドライヤーを準備してくれて、髪を乾かしてくれる。
温かい風が髪に当たって気持ちがいいし、人に髪を乾かしてもらうのって心地がいいなぁ。