王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。



ま、まさか……本当に迎えにくるなんて誰もが想像していなかった夢のような話。


「……芙結と一緒に過ごすために時間はかかったけど、ちゃんと戻って来れたから」


空白の10年間。


芭瑠くんの中で何があったのか、どうしてわたしの前からいきなりいなくなってしまったのかは未だにわからないまま。


「芙結のためだと思ったら嫌なことも、やりたくないこともぜんぶ乗り越えられたから。本当はもっと早くからそばにいたかったけど」


すると芭瑠くんがわたしの左手をスッと取り、薬指に軽くキスを落としながら。


「芙結が18歳になったら迎えにいくって決めてたから」


芭瑠くんを見る限りとても冗談だったり、からかって言っているようには見えない。


「もう、ぜったい離してあげない」


そのまま芭瑠くんの顔がどんどん近づいてきて、お互いの距離がゼロになる寸前……。

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