王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
思わずギュッと目を閉じると。
「お取り込み中のところ失礼いたします。芭瑠さま、少々強引すぎて芙結さまがかなり戸惑っていらっしゃるように見えますが」
突然、聞き覚えのある男の人の声がして、ハッとして閉じた目を開けると……。
「……何かな、柏葉。すごくいいところなのに、よくも邪魔してくれたね」
まるで気配を完全に消す技を使ったかのように、柏葉さんがベッドのそばに立っていた。
えっ、うそ。
い、いったいいつからいたの!?
「いえ、とてもいいタイミングかと。芙結さまが食べられてしまいそうですので」
「人聞きの悪いこと言わないでほしいね。ただ芙結が可愛いから歯止めきかなかっただけだし」
「だから止めに入ったのですよ」
すると柏葉さんはこの目の前の光景に全く驚く様子も見せないまま、にこっと笑ってわたしの身体をベッドから起こした。