世界No.1の総長と一輪の花 1.5
*
──バレンタイン当日。
俺は気づいてしまった。
花莉の手荷物が今日はひとつ多いことに。
いつもの学校用のスクールバッグと、もうひとつ。ピンク色の花柄のおしゃれな紙袋、それが花莉の手に握られている。
え?え?え?
…その紙袋の中身って…まさか……。
どうしても嫌な考えが頭に浮かんでしまう。
その紙袋の中身がチョコで、花莉は学校の誰かに渡すんだって……。
…気になる男いんの?
…そいつが好きなの?
…花莉を渡せるわけねぇ。
誰にも。
花莉は俺が初めて好きになった女の子なんだ。
どこの誰かも知らねぇ男に花莉を渡せるわけがない。
……けど、俺が無理矢理止めたところで花莉は俺のことを嫌いになるのではないか。
この子に嫌われたら俺はこの先、生きていけないかもしれない。
何も言えねぇ……