世界No.1の総長と一輪の花 1.5
*
「ごめんなさい!!!!!!!!」
花莉は俺の前で頭を下げた。
それはなんでかって?
ちらりとテーブルの上を見ると見事に真っ黒焦げになったグラタンのようなもの(?)があった。
たぶん、これのこと。
なんだか焦げ臭い匂いがすると思って台所へ行ってみたら花莉がいきなり頭を下げたんだ。
「別に気にしなくていいからさ、顔上げろよ?」
花莉はゆっくり顔を上げる。目には涙が溜まっていて、こぼれ落ちてしまいそう。
「花莉ってさ、もしかして料理あんま得意じゃなかったりする?」
俺の言葉にゆっくり頷く花莉。
「ちゃんとした料理を今まであんまりしなくて…。簡単なものしかつくってこなかったの……。今まで言わなくてごめんなさい」
声が震えていた。
そんな彼女の頬に触れようと手を伸ばした時───
花莉は小さな体をビクッと強ばらせて、目をぎゅっと瞑ったら目に溜まった涙がこぼれ落ちた。それから
「ごめんなさい…お父さ……」
震えた小さな声が耳に確かに届いた。