君は同期で幼馴染で××で
「真紀ちゃん、どう思う?」

「今日見た中で、一番いいと思う。特に問題点はないし……」

話しながら窓を開けてみる。うん、隣の建物との距離もほどよくあるし、洗濯物を干すベランダは外から見えづらい向きだ。

「陸、ここいいね」

「ね。僕もそう思ってた」

「ここは人気のある物件で、空き出てもすぐに入ってしまうんですよ。なので、今日を逃すとすぐにうまってしまうかもしれません」

おじさんが穏やかに追い込みをかけてくる。見た目に反してやり手と見た。いや、見た目を活かしたやり手なのかも。

「真紀ちゃん、決めちゃおうか?」

「うーん……そうだね。いいよ」

「ありがとうございます。それではお店のほうへもどって、諸々の手続きをお願いします」

思いつきで来てみたその日に、新居を決めてしまった。大丈夫なのかって一瞬思ったけど、こういうのも出会いとタイミングだからいいのかな。
それに、一緒に暮らすことを陸がこんなに喜んでくれてるし。

入居できるのが、クリーニングが入ったり、鍵の交換があったりで、約1ヶ月後に決まった。

< 106 / 150 >

この作品をシェア

pagetop