君は同期で幼馴染で××で
「もう、こいつの名前も覚えた?」

花山さんが、一緒に近づいてきた人を指さした。

「えっと、沢村さんですね」

「おぉ、嬉しい!覚えてもらえてて光栄だよ」

少し軽そうな雰囲気の沢村さんが、色気のある笑みを浮かべた。

「仕事はどう?もう慣れた?」

気遣うように聞いてくれる花山さん。うん。私の指導担当が、花山さんの方で良かった。

「はい。花山さんが丁寧に教えてくださるので、少しずつですが慣れてきました」

「いいよなあ、花山は。こんな可愛い子につきっきりで」

「何言ってんだ。仕事だろ。まあ、役得だとは思わないこともないけど」

前言撤回してもいいでしょうか……

「ほらみろ。相川ちゃん、花山に襲われないように、気をつけなよ」

「お、おそ、襲う?」

なんてことを言うんだ……
酔っ払いのノリには、ついていけない。

「こら。相川さんが、驚きすぎて固まってるぞ」

助け舟を出してくれたのは、課長の山村さんだ。少し前に第一子が生まれたばかりのパパさんだ。

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