君は同期で幼馴染で××で
「ちょっと、恩田さん!起きてよ。ねぇ」

体をゆすったら、やっと目を開けた陸。私と目が合うと、ふにゃりと笑顔になった。

「あっ、真紀ちゃんだ!!一緒に帰ろ」

嬉しそうにそう言うと、ぎゅっと抱きついてきた。寝ぼけてるよね?

「あぁ、そうか」

がっかりしたように呟く沢村さん。そのがっかり感、やめてください。
ていうか、別に沢村さんや花山さんに気があるわけじゃないから、いいんだけど。でも、誤解が広がるのはだめだ。

「ちょっ、ちょっと沢村さん。本当に勘違いしないでください。陸は幼馴染なんですって。それも3歳の頃からの」

「陸!?」

あっ、しまった……

「いや、あの……3歳から大学までずっと一緒で、就職もまさかの一緒だったんです。仕事以外では、家族なようなものでつい……」

「家族?うーん……家族かあ。真紀ちゃん、じゃあ一緒に帰ろう!真紀ちゃんちで、もうちょっと飲もうよ」

体は起こしたものの、誤解を招くような発言を繰り返す陸。

「えっ!?家を行き来してるの?」

ああ、花山さん。酔っ払っていているなら、陸の戯言なんて正確に聞き取らないでください……

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