君は同期で幼馴染で××で
どれぐらい経っただろうか。
陸が、そっと体を離した。

「警察……連絡しないと」

正直、もう帰ってしまいたかったけど、他に被害者が出るのも嫌だし、何より、一駅しか離れていないのも恐怖で、陸の言葉に従った。


マンションに帰って来られたのは、日付けが変わる頃だった。


「陸、さっきはありがとう」

「真紀ちゃん、1人にして大丈夫?」

帰り道もずっと手を握ってくれていた陸。部屋の前に来て手を離されると、不意にまた恐怖が襲ってきて、唇が震えた。「大丈夫」って言いたいのに、再び言えなくなる。それに気づいた陸が、彼の大きな指で私の唇にそっと触れた。

「大丈夫じゃないみたいだね。あたりまえだよね。あんな怖い思いをしたんだから。真紀ちゃん、今夜は一緒にいるよ。だから、安心して」

そう言うと、陸は一旦私を陸の部屋の玄関に入れて鍵をかけると、すぐだから待っててと、私を残して中へ入っていった。

「お待たせ」

さほど待たないうちに、ルームウェアーに着替えた陸がもどってきた。

「よし。自分の部屋の方が落ち着くだろうから、真紀ちゃんちに行くよ」

優しくそう言うと、陸の部屋を出て、私の部屋へ行った。

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