君は同期で幼馴染で××で
「さあ、寝るよ。真紀ちゃんが眠るまで、手を握っててあげるからね」

こんなふうに、陸と同じ部屋で眠るなんて、幼い頃にお互いの家にお泊まりしていた時以来かな。

「ありがとう、陸」

私がベッドに入ると、陸はその脇に座って、私の手を握りながら背中をトントンとしてくれた。その手の温かさが、なぜか無性に愛しくて、離したくないと思った。

「ふふふ。陸、お母さんみたい」

「失礼な!」

可愛くむくれる陸を見た。
いつもの戯れと同じで、本気で怒っているわけじゃない。
いつ頃からだろうか、こんなやりとりをする些細な時間を、すごく心地よく思うようになったのは。
陸と私は、幼い頃のまま何も変わらない。
近くにいることが自然で、あたりまえで……


「ごめん、ごめん。こうしてくれてると、すごく安心する。陸は私にとって、一番近くにいる男子で、未だにお隣さんで、同志で同僚で……おかん……?」

そう呟いているうちに、あまりにも心地良くて眠りについていた。



「真紀ちゃん、そろそろそこに〝恋人〟って付け加えて欲しいな」

そう言って、陸が私の髪にそっと口づけしたことは、全く知らなかった。


< 75 / 150 >

この作品をシェア

pagetop