寡黙なダディの秘めない愛情
クリスマスが近づいたある日。
育己の通っている学園が冬休みに入り、自宅でくつろいでいた育己は、母である美咲に誘われショッピングに出かけていた。
「いっくん。クリスマスプレゼント何がいい?」
「夏美はゲームが欲しいって言ってたな。僕は何でもいいよ。父さんは『美咲』って言いそう・・・」
「ああ・・・、そうだね」
会社でのビジネススーツでも作業着でもない美咲は、白いワンピースに真っ赤なダッフルコートを身に付けていて、とても37歳には見えない。
175cmでやや大人びた顔つきの育己と並ぶと、高校生カップルのようにも見える。
「見て、イケメン」
「彼女年上かな?お似合いだよね」
待ち合わせの定番となっている駅前広場。
普通、思春期真っ只中の中学生なら母親とお似合いだと言われれば腹を立てるはずだが、お母さん大好きな育己にとっては、ひたすら鼻が高いだけだった。
「ねえ、お姉さん、僕らと出かけない?なんならその弟くんも一緒で構わないよ」
しかし、高校生に見えるとはいえ体つきがまだ少年の育己は、男性からは簡単になめられるらしく、ここに立っているだけでも美咲は数組の男性グループに声をかけられていた。
「あら、私はこう見えてアラフォーのおばさんでこの子の母親よ?」
美咲が微笑んでそう言えば、大概の男達は驚いて去っていったが、今目の前にいる男達は見るからに柄が悪かった。
「へえ?ずいぶん若く見えるんだね。それよりさ、シングルマザーでも働けるいい職場があるんだよね。君くらい童顔で綺麗なら一晩で数万は稼げるよ」
自分の母親が、目の前で夜の仕事らしきものに誘われている。
育己は腹が立って気分が悪いが、ヤクザっぽい男達を前に怯んでしまった。
育己の通っている学園が冬休みに入り、自宅でくつろいでいた育己は、母である美咲に誘われショッピングに出かけていた。
「いっくん。クリスマスプレゼント何がいい?」
「夏美はゲームが欲しいって言ってたな。僕は何でもいいよ。父さんは『美咲』って言いそう・・・」
「ああ・・・、そうだね」
会社でのビジネススーツでも作業着でもない美咲は、白いワンピースに真っ赤なダッフルコートを身に付けていて、とても37歳には見えない。
175cmでやや大人びた顔つきの育己と並ぶと、高校生カップルのようにも見える。
「見て、イケメン」
「彼女年上かな?お似合いだよね」
待ち合わせの定番となっている駅前広場。
普通、思春期真っ只中の中学生なら母親とお似合いだと言われれば腹を立てるはずだが、お母さん大好きな育己にとっては、ひたすら鼻が高いだけだった。
「ねえ、お姉さん、僕らと出かけない?なんならその弟くんも一緒で構わないよ」
しかし、高校生に見えるとはいえ体つきがまだ少年の育己は、男性からは簡単になめられるらしく、ここに立っているだけでも美咲は数組の男性グループに声をかけられていた。
「あら、私はこう見えてアラフォーのおばさんでこの子の母親よ?」
美咲が微笑んでそう言えば、大概の男達は驚いて去っていったが、今目の前にいる男達は見るからに柄が悪かった。
「へえ?ずいぶん若く見えるんだね。それよりさ、シングルマザーでも働けるいい職場があるんだよね。君くらい童顔で綺麗なら一晩で数万は稼げるよ」
自分の母親が、目の前で夜の仕事らしきものに誘われている。
育己は腹が立って気分が悪いが、ヤクザっぽい男達を前に怯んでしまった。