寡黙なダディの秘めない愛情
「まあ、その子を少し貸してくれたら許してやってもいいぜ。俺、外国人の女の子と付き合ってみたかったんだよね」

ゲスい目でミサを見つめる少年Aに怒りが込み上げる。

「ほら、こっちに寄越せよ」

「いや!」

「へえ、日本語がしゃべれるのなら話が早い。彼氏に怪我してほしくなきゃ、俺に大人しくついてこいよ」

少年Aの手がミサの腕を掴む。

言い知れぬ怒りが、育己の胸に込み上げてきた。

「痛え」

「ミサに、触るな」

育己は思い切り、少年Aの腕を後方に捻りあげる。

「Get out of here, if you want to live.(死にたくなければとっとと失せろ)」」

気づけば、地を這うような声で相手を威嚇している育己がいた。
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