恋の予言【短編】
「明人くん、いらっしゃい」
芳乃の母がにこやかに出迎えてくれた。
「おじさん今日は残業なんだって」
「あら、そうなの。大変ねぇ」
明人は待ちきれないように、
「おばちゃん、俺腹減ったー」
と、お腹を押さえた。
―――芳乃の母と、明人の父。二人は秘密にしているようだが、お互いに好意を持っていた。
今まで支えあってやって来たのだから、不思議ではない。
いつかあたしたちは家族になる。
そんな予感がしていた。
あたしが姉で、明人が弟?
あれ?
誕生日は明人の方が先かぁ。
「おい、何ボーっとしてんだ?」
明人の声に、芳乃はハッと我に返った。
「ううん、何でもない」