美しく死なせてください
隣国で、敗戦国の軍服を着た少女が山の中で大怪我をしているところを保護された。少女の近くには置き手紙があり、この国で誘拐して洗脳したこと、兵士として戦場に立ち多くの兵士を殺したことなどが書かれていた。

「病院側で最初は洗脳を解こうとしたんだが、暴れて他の患者に危険があると言われてな」

「つまり、刑務所の中に監禁して洗脳を解くということですか?」

グレイソンの声が震える。まだ十二歳ほどの少女を、洗脳された被害者の、自由を奪ってしまうのだ。

「グレイソン、仕方ないんだ。洗脳が解けなければ一生彼女が苦しむこととなる。解くためには心を鬼にするしかない」

独房に彼女を閉じ込め、戦うことしか知らない彼女に人として大切なことなどを教えていく。そして、洗脳が解けたら看守の誰かの家で暮らし、いずれは社会に出す。そう上司は言った。

上司の説明が終わったものの、グレイソンたちの戸惑いは消えることはなかった。しかし、少女は隣国から護送されてきてしまった。
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