始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
『難しい質問ですね。どのくらい…は、何と比べたらいいのか…どんな物とも比べようがないくらい穂乃果のこと大切に思ってるので』


『そうですか…いいですね…月城さんは、大切な人といつも一緒にいられて。本当に…うらやましい。心からそう思います』


その言葉に、ハサミが止まってしまった。


『…僕は…穂乃果さんのこと、ずっと好きで、でも、2人きりで話したことも昨日が初めてで。会えない日ばかりで、つらくて心が張り裂けそうな時もあったんです。お見合いの話が持ち上がった時…本当に嬉しかった。もしかして、穂乃果さんとずっと一緒に居られるんじゃないかって…勝手な想像したりして。でも…実際は…』


真剣な告白だった。


その切ない様子に、何も言葉が出ない…


『実際は…あなたがいて、僕なんか、全く相手にされてなかった。そんなあなたが…正直…ちょっと憎いです』


『氷野さん…』
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