始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
『俺が誘ったんだ、そんなこと気にしなくていい。俺は、穂乃果の髪に触れたかった』


そう言って、先輩は…


私の髪にそっと触れた。


先輩の細くて長い指に触れられた瞬間、思わず、目をギュッと閉じた。


息が出来ない…


そして、髪の間に指を入れて、すーっと下に向かって下ろしながら、


『やっぱり綺麗だ』


そう囁いた。


『綺麗じゃないです、恥ずかしいです』


『俺が、綺麗だって言ってる。今まで触れた中で1番だ』


『嘘です、そんな…』


『嘘をつく理由がないだろ?少しだけカットしていい?』


『え…あっ、いいんですか?』


本当に?


私、月城先輩にカットしてもらえるの?


ブラウンの普通のロングヘアを、ただ、ひとつに結ぶだけの手抜きスタイルの髪型。


先輩は、そんな私の重めの髪に、レイヤーカットを施していった。
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