始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
そして、パーティも終わりに近づき、緊張の時間がやって来た。


私から、両親への感謝の手紙を読む。


悠人が、そうした方がいいって提案してくれて、私は、心を込めて、2人への手紙を書いた。


子どもの頃からのことを、改めて思い返す、良い機会にもなった。


私の前に、少し離れて、両親が立っている。


ドクンドクンと、心臓が胸を打つ。


少し手も震えた。


会場が静まり返る中、私は、手紙を開いて、そして、深呼吸してから、ゆっくりとそれを読み始めた。


『お父さん、お母さん。今まで、私のこと、本当に大事に育ててくれてありがとう。和菓子屋をやりながら、忙しい中でも、2人は、いつも私に愛情を注いでくれたよね。優しく穏やかなお父さん、いっつも元気に笑ってるお母さん。絶対に弱音を吐かない2人を、私はいつも尊敬してたよ』


続けて、子どもの頃からの思い出を語ると、もう、お母さんは、涙でぐしゃぐしゃな顔をしていた。
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