始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
震える心を隠して、そう言うのが、精一杯だった。


2人で、カフェを出て、シャルムの前で別れようとした時、僕を呼ぶ声がした。


『氷野さん』


顔を向けると、そこに月城さんがいた。


『…あ、すみません。ちょっと穂乃果さんと話を…』


相変わらず、自分の何倍もカッコよくて、輝いてる月城さん。


僕は、突然過ぎて、上手く言葉が出なかった。


『そうでしたか。氷野さん、良かったら、カットしていかれますか?僕は、ちょっと早めに来たので、予約まで時間があります。いかがですか?』


月城さんが、言ってくれた。


驚いたけど、僕は、お願いすることにした。


カットしてもらうのは、あの時以来、2度目。


僕は、お見合いの話を、月城さんにもした。


『ご両親の勧めでお見合いを…それは良かったです』


『お見合いと言っても、まだ、何も具体的には進んでいません。これからどうなるのかも…もしかしたら、話も無くなってしまうかも知れないですし…』
< 198 / 230 >

この作品をシェア

pagetop