始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
『相手の方はどんな方なんですか?』


『…そうですね、家庭的な優しい人…だと思います』


『家庭的な人なら、料理が得意だったりするんでしょうね。男にとったら、料理の上手な女性は有難いですしね』


月城さんが、こういうなら、穂乃果さんもきっと料理が上手なんだろう…


『確かにそうですね…』


穂乃果さんと香織さんを比べてはいけない。


十分わかってるつもりだけど…


だけど…


もし、仕事を終えて、家に帰れば、穂乃果さんがいて…


疲れた僕を迎えてくれて、美味しい料理を僕のために作ってくれたら…


そして…


大好きな彼女を抱きしめられたら…


どんなに僕は…幸せだろうって…


そんな妄想を巡らせる自分は、本当にいやらしい人間だ。


穂乃果さんには、月城さんがいるのに…


僕は、自分が自分で許せなかった。
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