始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
2人きりの休日なんて…


本当に、久しぶりだった。


たまの休みでも、家族で過ごすことが当たり前だったから…


『今日は何の日?誕生日でもないし、結婚記念日でもないし…』


『記念日じゃないと、2人になれない?』


『そんなことないけど…』


『確かに…アンナが産まれてからは、2人になれるのは、アンナが眠ってる夜の時間だけだったからな』


『悠人はアンナのこと、本当に大切にしてくれて嬉しいし、いつも私のこともちゃんと気遣ってくれてるから、私は寂しくないよ』


それは、結婚してからずっと同じだ。


『今日は2人でいたい。ただ、それだけだ』


そう言って、悠人は、私を『anna』に連れて行った。


『anna』も、今日は定休日。


静かな店内には、私達2人きり…


『ここに座って』


悠人が、そう言って、私を鏡の前に座らせた。


『穂乃果…髪、切らせて』
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