始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
私は、大きく首を横に振った。


『…わかった。お前は、俺のいとこ。同じマンションに住んでることにする。だけど、俺も嘘をつくことになる…だから、早くお前とのことを現実にして、みんなに言いたい』


今度は、首を縦に振った。


ごめん…


もう少し…待って…


お店にも慣れたいし、もっと、いろいろ考えてから…ちゃんと返事したい。


それに…まだこの状況を信じられない自分も…やっぱりいるんだ。


こんなシンデレラストーリー、自分に起こるなんて、おかしいもん。


私さえ、全てをOKすれば、2人とも嘘をつかなくて済むのに…


本当に…どうしたらいいのか、わからないよ。


悠人と食事をして、夜になって、店の駐車場に車を止めた。


閉店時間を過ぎて、この時間、みんな揃っているらしい。


緊張する、すごく。


この前、悠人と久しぶりに会って、その夜に髪を切ってもらったお店。


そして…


初めて悠人と…


一夜を共にした場所。


私達は、中に入った。
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