始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
『悠人さん、終わりました』


『梨花ちゃん、ありがとう。お疲れ様。明日からも頼む』


『はい、わかりました』


ニコッと笑う梨花さんの笑顔は、本当に綺麗だ。


美人は得だな…


私の笑顔とは段違いだ。


いとこだって、言ってもらって良かったよ…


私みたいなのが、なんで美容師なんだ?って思われてるかも知れないし。


いとこだから、悠人も仕方なく雇ったんだろうって、そう思ってもらえる…


本当に、ちょっとでも早く1人前になりたい。


そしたら、ほんの少しだけでも、自分に自信が持てるような気がするから。


今の自分には、何もないし…


『みんな帰ったな、俺達も帰ろう』


『うん』


この店に2人きり…


あの日のあのことが、また頭によぎった。


恥ずかしい…


でも、本当に…


忘れられない素敵な夜だったな…


『穂乃果…行こう』


『あ、うん、今行く』


私達は、店を出て、車に乗り込んだ。
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