始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
私は、年上なのに、気の利いた言葉ひとつ浮かばないなんて…


情けない。


駅について、改札まで一緒に来てくれた。


『…ごめんね、ここまで着いて来てくれて…ありがとう。また明日ね』


『…いえ。すみません。明日、また』


輝くん、ニコって笑って、手を振ってくれた。


良かった…


私なんかが心配しなくても大丈夫だよね、輝くんなら…


きっと周りの人達が、元気にしてくれるはずだから。


私は、電車に乗った。


明日からまた…


頑張ろう。


悠人のマンションに着いた頃には、夜中を回っていた。


悠人もしばらくして帰って来た。


『悪かったな、一緒に帰れなくて』


『ううん、全然大丈夫だよ。一応、私も大人だし。悠人は仕事だったんだから、仕方ないよ』


『…まあ、確かに大人だけどな。でも…俺、お前のこと、すごく心配した』
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