始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
昼からの予約のお客様も、悠人に会うと、みんなニコニコして、久しぶりに恋人に会ったような乙女の顔になっている。


悠人も、お客様を恋人みたいにおもてなしして…


こんな風に、最高の癒しの時間を提供出来る美容師になりたいって…


最近、ますます、そう思う。


やっぱり…全部、悠人のおかげだよね。


『穂乃果さん、さっさとシャンプー入って』


梨花さんの声にビクッとした。


気が立ってる…?


アシスタントのこと、やっぱり…


嫌だったんだろうな…


明らかに腕のある梨花さんじゃなく、悠人は、私を選んだ。


嬉しいけど、どうして?って…


みんな、そう思ってるよね。


その日の仕事終わり、最後2人きりになった時、梨花さんが、私の前に来て言った。


『悠人さんのアシスタント、あなたはセンスを認められたわけじゃないのよ。センスで言えば、私の方がずっと上。なのに…』


悔しそうに唇を噛む梨花さん。
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