始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
それから、慌ただしく時は流れ、5月も終わりに近づいていた。


昼間は暖かく、穏やかな日差しが降り注ぐ。


そんなある日の仕事帰り、ゆっくり夜空を見上げたら、春の星座が見えた。


おおぐま座…だ。


しっぽが北斗七星。


子どもの頃から、星座を見つけるのは、得意だった。


1番好きなのは、冬のオリオン座。


最近、星座なんて、気にも止めずにいたけど…


ほんの少しだけ、星座を探すくらいの心の余裕が出てきたのかな…って思った。


『穂乃果さん!』


1人で帰る道の途中、振り向くとそこに、輝くんがいた。


『どうしたの?こんなところで』


会うはずのない場所にいた輝くんに、思わず驚いてしまった。


『この近くに友達がバイトしてる店があって、そこで晩ご飯食べて帰ろうかなって。そしたら、穂乃果さんがいたから…びっくりして。すみません、思わず声かけちゃいました』
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