始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
『…はい。すみません。ドキドキし過ぎて、息が上手く出来ないです…でも…こんなチャンスはもう無いと思うから、言います』


輝くんは、急に立ち上がった。


その勢いに、思わず後ろのめりになる私。


『穂乃果さん、僕は…あなたのことが好きです!』


え…?


嘘だ…


すごくストレートに好きって…


その小さな公園には、誰もいない。


ただ、ブランコと小さな滑り台が、ほんのり明かりの灯る中に、ひっそりと佇んでいるだけ…


少し行けば、車道やお店もある。


なのに…


真っ直ぐなその告白と同時に、私の周りを静寂が取り囲み、その他の雑音が、全く聞こえなくなってしまったんだ。


輝くんは、じっと私を見つめたまま動かない。


よく見たら…


その頬をひとすじ、キラキラした涙がつたって…


そして…地面に落ちた。


『…すみません、男が泣くなんて…バカみたいですよね』


そう言いながら、輝くんは、頬を拭った。
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