始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
『すみません、穂乃果さん、突然来てしまって。予約はしてないから…無理だよね?』


『…ごめんなさい。今日は予約でいっぱいなんです』


私は、軽く頭を下げた。


『こんな人気店だから、当たり前だよ。僕が悪いんだ。また来るよ…あの、今日、夜は空いてないかな?終わってから…ちょっと話したいんだ』


『輝、あちらの綾野様、シャンプー頼む…穂乃果、お客様?』


突然、私達の間に入って来たのは、悠人だった。


輝くんは急いで、シャンプー台に向かった。


悠人も施術中なのに…


私達のやり取りを見て、わざわざ来てくれた?


『あの、こちらは…氷野恭吾(ひの きょうご)さんです。両親の和菓子屋がお世話になっている…』


その言葉で、全てを察してくれた悠人。


『初めまして。ここのオーナーの月城です。穂乃果がいつもお世話になっています』


『…穂乃果…?』


私を呼び捨てにしたことに、違和感を覚えたみたいだった。
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