始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
『ああ、2人でゆっくり話すといいよ、氷野さんはそうしたいはずだから』


『…あ…うん』


私は、悠人の行動に少し驚いた。


それでも、やっぱり、私もちゃんと話した方がいいのかなと…そう思った。


悠人は、氷野さんに挨拶をして、先に店を出た。


『本当に…びっくりしたけど、素晴らしい人だね、月城さんは。僕なんて、足元にも及ばない』


恭吾さん…


そんな、寂しそうな顔しないで…


『足元にも及ばないなんて、そんなことないです。恭吾さんは…本当に素敵です。背が高くて、眼鏡が良く似合うイケメンさんで、優しくて穏やかで…でも、どうしてこんな素敵な人が、私なんかとお見合いしたいって思ってくれてるんだろうって…ずっと不思議で』


思ってたことが、スルスルと自分の口からこぼれ出していた。


『…嬉しいな、眼鏡が良く似合うイケメンさんなんて…言われたことないから』


ニコッと笑う顔が、ふんわりとその場を温かくする。


『そんな、きっと、恭吾さんのことを想ってる人はたくさんいると思います。なのに、私なんかに…』
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