極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
風雅さんとの約束の時間までまだ少しある。私はお気に入りの場所、屋上の日本庭園まで来た。
ゆっくり散策して夕日に染まる庭園を眺めていたけど、段々足が痛くなってきた。やっぱり慣れない高いヒールで歩き回るのはまだ早かったみたいだ。
どこかベンチに座ろうと辺りを見回してある人と目が合ってしまった。こんな日に限ってなぜ会いたくない人に会うんだろう…ズキンと胸が痛む。
「あら貴方、流星さんのところの家政婦だった…」
目が合って険しい顔でつかつかとこちらに来たのは新山保奈美さん。私を上から下までじろじろと見てきて居心地が悪い。
「あなた今、高槻のおじ様の所にご厄介になってるのよね?まさか、流星さんに会いに来たんじゃないでしょうね?」
「ち…違います…」
「ふうん、身なりだけはご立派だけど、中身はただの家政婦なんだから、あまり流星さんの周りをうろちょろしないで頂ける?目障りだわ」
嫌悪感を顕に言われて言い返す言葉も無くて俯いた。ジンジンと足が痛い。
「本当なら高槻家にもいて欲しくないのよ。だけど流星さんは優しい方だからあなたのような天涯孤独の人にも情けを掛けてるのよ、有り難く思いなさい」
「情け…」
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