極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
「そうよ、情け以外あなたに構う理由があると思って?あなたのような人を流星さんが好きになるとでも?」
「い…いえ…」
凄まれてつい萎縮してしまう。
そんな事は自分が一番わかっている。でも新山さんに言われると、とてもショックで握った手まで血の気が引いて冷たさで痛みが走る。
「私達、交際が順調なのあなたも知ってるでしょ?この間流星さんにプロポーズされたのよ、私」
「え…」
思わず顔を上げた私を見て新山さんはふんと得意げに笑った。
「私達結婚するの。だから私達の周りにうろついて邪魔するのだけはやめて頂戴。身の程をわきまえて自分から高槻家を出てってよ!」
そう吐き捨てると、最後はギロリと睨まれ、新山さんは行ってしまった。

私はその場に立ち尽くしたまま青ざめる。
流星さんが結婚する………。
とうとうその日がやって来るのか。覚悟してたはずなのに現実なんだと思い知ると体は震え胸は鷲掴みされたように苦しくなった。
流星さんの幸せを願って離れたはずなのに、今は受け入れ難くて、自分の正直な心は流星さんが奪われてしまうと、黒く渦巻く感情が湧き出ているのを感じた。

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