極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
一人になり、暫くたった頃、朝、いつものように秀弥とオフィスビルの前で合流すると、秀弥がおかしな事を言った。
「おはようございます」
「ああ…」
「…ああ、やっぱり、朝の日課がないと物足りない気がしますね」
「は?なんのことだ?」
俺の後ろに視線を向けながら残念そうな顔をする秀弥に訝しげに首を撚る。
「叶さんが流星さんの元を去ってから10日ほどですか…」
「何なんだ?叶と日課と何の関係がある?」
秀弥の視線を辿り後ろを振り向けば目と鼻の先にレジデンスがある。秀弥はその上を見ていた。そこは俺の住む最上階。
「もう、バラしてもいいですかね。叶さん、毎日あのバルコニーからこちらを見ていたんですよ?」
「は?毎日?何のために」
「それはもちろん流星さんを見送るためでしょう。彼女は雨の日も風の日も、いつでも流星さんを見送ってました」
「……なんで、そんな事を…」
叶は毎日玄関まで見送りに来ていた。それで十分だろうになぜバルコニーまで出て見送っていたんだ?それに…。
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