極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
それから2ヶ月が経つ頃。
秀弥に働きすぎですよ、と早々に帰された。
確かに毎日いつまでも会社に残り仕事をしてしまい秀弥に心配を掛けてしまっている。
レジデンスに帰る気にならないだけじゃなく、だらだらしている訳じゃないがどうも仕事の効率が悪い。疲れが溜まって頭の回転も鈍ってる感じだ。

夏にしては気候もちょうどよく少し気分転換をしようとMAHOROBA屋上に来た。
夕日が差し込む日本庭園は多くの客が散策したりベンチに座り会話をしたり各々楽しんでるようだ。茶室ではお茶会が終わった頃のようで和服姿のご婦人が出て来た。その中には外国人も数人いて着物を上手に着こなし楽しげに笑っていた。

ここは母がこのテナントの構想を練っていた父に是非日本庭園を作って欲しいと強請って実現した場所だった。アメリカ人でありながら日本文化をこよなく愛していた母は、日本庭園だけでなく日本文化を継承する店舗が数多く出店するMAHOROBAができるのを楽しみにしていた。MAHOROBA自体、父が母の為に作ったと言っても過言ではない。とにかく母に甘かった父は母の要望をできるだけ実現する為尽力していた。
しかし、母は完成を前に病に倒れ隣の明里総合病院からその出来上がる一端を見るしか出来なかった。そして一歩もこの庭園を歩く事なく逝ってしまった。
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