極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
「ふん、これでも叶ちゃんを好きだと自覚した時から自制してるんだ。女遊びも飽きたしな。ここらで身を固めてもいいかと思ったんだ」
「そんなの信用出来ないな。お前の女癖は治らない。叶が不幸になるのは目に見えてる許せるわけないだろう」
「何を偉そうに。お前は叶ちゃんの保護者か」
「叶が18の高校生の頃から保護者の役割も担ってんだ。当たり前だろう」
「でも、もう叶ちゃんは大人だろ?もうすぐ誕生日なんだってな」
「……」
言い返せなく黙ってしまう。
そう、叶は数日後には二十歳になる。俺の保護者の役割も終わるわけだ。
「選ぶのは叶ちゃんの自由だ。お前の言い分だと叶ちゃんの決めたことに口出しはできないだろ?」
「それとこれとは話が別だ。お前になんて叶をやれない」
「それは、保護者としてか?雇い主としてか?それとも、他に理由があるのか?」
俺の顔色を伺うように斗真は覗き込んでくる。その表情は意外と楽しげで面食らった。
「家政婦を続けるか、俺の嫁になって若奥様として優雅に暮らすか、どちらが叶ちゃんは幸せに暮らしていけると思う?」
それには答えずにじっと睨んでいると答えは求めていないのか、斗真は鼻で笑って踵を返し行ってしまった。
一人残された俺は天を仰ぐ。
何を考えているんだ斗真は。俺をけしかけるあの目になぜか焦燥感が込み上げてきた。だけどこれだけははっきりしてる。叶を斗真に託すことはできない。
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