極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい


叶と初めて会ったのは望さんの入院していた病院。
望さんが亡くなったと連絡が入り急いで病室に向かい、望さんの亡骸の前で呆然と立ち竦む叶を初めて見て俺が守ってやらなくてはと強く思った。

望さんと出合ったのは、俺が最初に就職した高槻コーポレーション系列会社のアメリカ支社だった。叶は望さんと俺が同じ会社で働いていたことは知らないみたいだが、3つ年上の望さんは俺の指導係で、御曹司という俺のレッテルもものともせず気さくでよく面倒を見てくれた。人懐っこい笑みで人の懐に入るのが上手い彼に警戒心が強いはずの俺は絆され知り合いの誰もいないアメリカで心を開ける唯一の相手だった。
飲みに行く度、歳の離れた可愛い妹がいると自慢話を語る望さんがどれほど妹を可愛がっているのか窺い知れて、男ばかりで妹のいない俺は羨ましいと思っていた。
そんな時、望さんの両親が事故死してしまい、妹を一人に出来ないと望さんは日本へ帰って行った。その3年後、俺も日本へ帰り久しぶりに望さんに会ったのは病院だった。
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